ジンジャーエール

辛口エールで一杯ひっかける

フランス代表選手による人種差別動画について考える

サッカー国別対抗戦でワールドカップに次ぐ、いや時にはそれ以上に人々が熱狂し、ドラマティックな試合が展開される欧州選手権(ユーロ)。本来は2020年に開催される予定であったけど新型コロナウイルスの影響で1年繰り越され、現在開催されている。残すは決勝のみ。いよいよ佳境を迎えている。

もめ事の多いフランス代表

その中で優勝候補の一角と目されていたフランス代表。何しろ2018年にはワールドカップを優勝している。選手もすごい。キリアン・ムベッパ、ポール・ポグバなど世界的なビッグスターを擁している。個人的に推したいのはエンゴロ・カンテ。めっちゃ良い選手です。人間的にも謙虚で好感が持てる。

 

そんなフランス代表だけどユーロでは期待に反してベスト16で姿を消した。スイスと壮絶な打ち合いのすえPK戦で敗退。大きく期待を裏切ることになった。スイスも好チームなんだけどフランスサイドから見ると格下だと思ってたんだろうな。フランス代表には様々な批判が寄せられている。

 

特にフランス代表の恒例行事と呼べそうな「選手間の対立がありチームはバラバラ」報道などもされている。2010南アフリカワールドカップで惨敗を喫したフランス代表はとにかくチームがバラバラだった。監督と選手たちが対立。選手間でも誰が主導権を握るかで軋轢があったという。

 

 これなんかその当時の内部を取材し克明に記したものだけど面白かった。陰謀好きなフランス人らしいな(偏見)と思ったものです。代表選手ともなれば富も名声もある。若くして大金を掴み異性も寄ってくる。自分を神や王と勘違いしてしまう選手も中にはいるだろう。

結果が出なければ…

今回問題になっている動画は2019年のものだそうだ。2年も前のものがどうして今ごろ問題となっているのだろうか。フランス代表の早期敗退が動画流出の一因だともいわれている。要は、腹いせみたいなことなんだろうな。

 

いくらスター選手でも結果を出せなければめちゃくちゃ叩かれる。これまで表に出なかった醜聞が露わになって叩きが加速する。そういった面では同情する部分はある。しかしながら今回の動画の内容に関してはアジア人への差別といえるもので到底許容しがたいものだ。個人的にはデンベレやグリーズマンが厳罰に処されても一切同情する気はないし、今後彼らを応援することはない。

サッカーにおける差別問題

特に動画で差別的言動を行っているデンベレについては心底うんざりしている。ヨーロッパサッカーにおける差別の問題は当然知っているはずだ。なんならアフリカにルーツを持つ彼自身だって差別的言動の標的となってしまったことはあるはずだ。差別されることの痛み、辛さはわかっているのではないか。

 

それなのに他の人種・民族を平気で笑い飛ばす。そもそも彼らが所属するバルセロナ事態がスペイン中央政府から差別や迫害を受けてきた歴史がある。クラブでは人権や差別に関して選手に対して教育をしないのだろうか?

 

ヨーロッパでのサッカー選手のステータスは高い。トップクラブに所属する選手ともなれば莫大な報酬を得ることができる。高級車に乗り、ナイトクラブで女性を選び放題。試合で決定的な活躍をしようものならファンはまるで神のように自分を崇めてくれる。その結果出来上がるのが、鼻持ちならないエゴ丸出しの生意気な若造だ。その罠に嵌り、将来を嘱望されながら消えていった選手も多い。

 

そして僕の目にはデンベレはそのように見える。デンベレもグリーズマンもスタジアムで主に黒人系の選手に浴びせられる聞くに堪えないブーイング、差別的言動をきいたことがあるはずだ。そうした当事者であるにもかかわらずナチュラルに他の人種・民族をバカにする。その根っこにあるのは若いうちからちやほやされて、適切な学びをしてこなかったことにあると思う。

無知は差別の元

差別は無知から生じることが多い。なにが差別になるか無自覚なだけに根が深い。こうした場合はなぜ自分が責められなければならないのかわからず困惑する。炎上後の両者の弁明を見れば一目瞭然だ。

 

普段から叩いている軽口だ、と言わんばかりの弁明だった。なにが問題なのか、どうして自身の言動が他者を傷つけたのかまるでわかってないような口ぶりだった。

 

おそらく近い将来グリーズマン、デンベレ共にバルセロナからは放出されるだろう。引き取り手があればの話だけど。なにしろマーケットとして超でかいアジアを敵に回しかねない言動だったのだ。そもそも二人の加入後のパフォーマンスはとても獲得時に支払った巨額の移籍金に見合うものではない。今回の問題はバルセロナにとっても良い口実となる。

 

無知は自分の身を亡ぼすのだ。ツケの支払いは案外早いものになりそうだ。